2018年10月4日木曜日

小鳥売り終えて


まずは無事に公演ができて良かった!強烈な台風24号の接近で、JR東日本が20時をめどに運転を中止するという情報が流れるなか、開演時刻前と終演あたりは雨もほとんどなく、お客様にもご迷惑をおかけすることなく公演を打つことができました。本当にありがとうございました。出来は…そう、かなり良かったと思います。自画自賛ですが。小さな傷はありました。でも、この表情豊かなオペレッタをきちんとした劇場の形でお見せすることができたのは私たちの誇りです。ご来場のお客様、私の演出の謎解き、できましたか?そうです。リヒャルト・シュトラウスの「ばらの騎士」が隠し味でした。クリステルとアーダム、若い二人の恋の後ろに、大公妃マリーの哀しさを表現してみました。ゾフィーとオクタヴィアン、そして元帥夫人マルシャリンの関係性に似せて。「小鳥売り」には大公が登場せず、「ばらの騎士」には元帥が登場しません。バラという花が《愛情》のアイテムになっているのも同じ。アーダムと大公妃の間に完全な恋愛関係は生じませんが、アーダムが大公妃に求婚するシーンはありますし、心動かされることはないとしても大公妃がアーダムの求婚によって自分の得られない愛を強く感じるのは事実です。今回の演出では、本来のナンバー組みを変えて、全曲のほぼ中間点に大公妃マリーのアリア“森の中を私は歩いた”を置き、そのあとのマリーの悲劇を浮き彫りにしました。また、1幕フィナーレ中で歌われるアンサンブル“もし、チロルでばらを”を、3幕フィナーレ前で再現し、アーダムの前をクリステルと大公妃がクロスして歩き、アーダムは最終的に恋人クリステルに歩み寄るという演出にしました。その場にいる登場人物は、一人たりとも大公妃へ視線を送らないよう注意を与え、大公妃の孤独感を強く表現したつもりです。本番前日の稽古で、このアンサンブル最後の大公妃の立ち位置を下手花道に変更し、その意味合いを明確にするなど、最後の最後までこだわってみました。あ、すみません。話が完全に「ばらの騎士」になっちゃいましたね。ガレリア座、来るべき日に備えての予行演習です(笑)。さて、まだ演目は何も決めていませんが、次回公演を楽しみにしてください。台風の季節は外そうと思います。
第2&3幕 照明作りこみ

第1幕 稽古風景

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