2020年5月13日水曜日

LPレコードをかけてみる


私がクラシックのレコード収集を本格化させた小学生高学年の頃は、まだLPレコードの時代でした。新しい録音だと2,500円前後。とても小学生には手が出ないので、1,000円から1,500円程度の廉価版がコレクションの主流でした。中古屋に出入りするようになったのは中学生だったか、高校生だったか。最近は、一周回ってLPの良さが認識され、ごく一部ではあるものの新しくプレスされる盤もありますが、時代の主流はストリーミング。あの大きなLP盤が主役に返り咲くことはないのです。良かったなあ。あの大きな紙のジャケット。〝ジャケ買い〟なんて言葉もあったくらいで、私もそういう衝動買いをしました。そんな〝ジャケ買い〟の1枚が、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ。有名な5番「春」と9番「クロイツェル」のカップリング。当時、あまり室内楽には興味がなかったのですが、スプリング・ソナタの鮮烈で豊潤な音に私は魅了されました。ジノ・フランチェスカッティのヴァイオリン、ロベール・カサドシュのピアノ。フランチェスカッティの演奏は、ティボー門下らしいエレガントさと、ヴァイオリニストだったイタリア人の父親譲りの歌ごころに溢れています。その演奏がジャケットの写真と、じつによくマッチしていて、何度もこのレコードを取り出して聞きました。今年の連休、外出控えのなか、久しぶりにLPでも聞こうかなと思ったときも、やはりこのレコードを手に取りました。慎重に黒い盤の端を持って、指紋がつかないように大切に、大切に。スタビライザーを乗せて、そっと針を落とす。ごそごそという針音の後に、あの瑞々しいヴァイオリンが!いいですよ、LPレコード。音楽とドキドキしながら向かい合っていた頃の気持ちが蘇りました。
みずみずしい音色です

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