Dynamiden。ワルツ王ヨハン・シュトラウスⅡの弟、ヨーゼフ・シュトラウスが作曲したワルツで、1865年に初演されました。当時、ウィーンの至るところで、さまざまな階級、業種の舞踏会が開かれていました。このワルツは工業舞踏会のために作られました。ディナミーデンとは、カールスルーエの工業大学教授フェルディナント・レッテンバッハーによる造語で、原子や分子が引き合う力を意味した単語だそうです。私が毎年、元旦はザルツブルグで過ごし、カメラータ・ザルツブルグのニューイヤーコンサートに出かけているため、オーストリアにいるのにウィーン・フィルのそれは日本に帰ってきてからブルーレイを購入して視聴しています。2020年ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートをつい先日、ようやく視聴して、私のこのお気に入りのワルツがアンコール前の最後に演奏されているので嬉しくなりました。この作品の第1ワルツが、同じシュトラウス姓のリヒャルトの方の歌劇「薔薇の騎士」オックス男爵のワルツとして登場するからです。粗野で高慢な貴族として登場するオックス男爵に充てられた最高に優雅なワルツ。元帥夫人マルシャリンの不貞が世間に知られる間際に、事態に気づいた男爵は事情を全部胸に収めるのです。貴族の矜持とでも言いましょうか。リヒャルトがこのワルツをオックスに充てた意味がよくわかります。2020年の指揮者はアンドリス・ネルソンス。2019年のティーレマンとは異なり、じつに楽しそうにドライブしています。指揮棒ではなく、手で表現するシーンも多く、このワルツもじつに繊細です。ティーレマンなら耳だけで十分ですが、ネルソンスの嬉しそうな顔は見る価値あり。映像での視聴をおすすめします。
ウィーンの粋 |
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