2020年4月12日日曜日

ワルターの運力


運力、“うんりき”と読みます。ヴェルディの歌劇「運命の力」を略して“うんりき”。我らガレリア座も2010年の第23回公演で取り上げたヴェルディ中期の傑作です。CDも映像も数多く残されています。そのなかで私のお気に入りが、ブルーノ・ワルター指揮のメトロポリタン歌劇場、1943年の実況録音です。昔のメトは、今とは比べ物にならないほど、大物指揮者がこぞってタクトを振り、素晴らしい音楽が鳴り響いていたようです。ワルターといえばモーツァルト、あるいはベートーヴェンの「田園」のように、どちらかといえば微温的な作品のイメージが一般ですが、この“うんりき”を聴けば、録音や人物イメージがいかにあやふやなものか分かります。序曲からとにかくすごい。直線的、男性的、テンポに一切の妥協を許さず、トスカニーニをも凌ぐ切れ感、そして終盤にかけてのドライブ感は半端ではありません。この序曲だけで、何回、聴き直したことか。今、手に入るのでしょうか。わかりませんが、もし、運よく手に入るのであれば、一聴されることをお勧めします。
聞いてみなけりゃわからない

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