2020年2月4日火曜日

ブリティッシュ・ナイト余話 その1


ここで紹介させていただいた、新宿文化センターで「ブリティッシュ・ナイト」と銘打ったコンサートが終わりました。毎年、私の勤める新宿文化センターでは一般公募の合唱団を編成し、プロのオーケストラと合唱作品をやっています。イタリアの俊英アンドレア・バッティストーニと、東京フィルハーモニー交響楽団とタッグを組んで今年が4年目。ヴェルディ「レクイエム」、オルフ「カルミナ・ブラーナ」、マーラー「千人の交響曲」と共演を重ねてきました。そして、今年は、エルガー「威風堂々」と、ウォルトン「ベルシャザルの饗宴」でした。これまでの3年と比べて「ベルシャザルの饗宴」は、あまり日本では知られていません。でも、20世紀最高の合唱作品の一つとカラヤンが評したこの作品を日本のファンに聞いてもらいたい、マエストロと私たちの願いが一致しました。ジャズの手法を含め、複雑な要素をたくさん含んだ本作は、演奏時間40分弱ながら、演奏は困難を極めます。マエストロはこの公演に至るまで、東京フィルの定期公演で来日する機会を利用して、2回も合唱団の事前稽古に新宿文化センターを訪れ、指導にあたってくれました。以前、「カルミナ」のときに新宿区立小学校を訪れ、児童合唱の指導をしたときもそうでしたが、音楽を一緒に作っていこう!という彼の献身的な姿勢に誰もが巻き込まれていくのです。小学生の子どもたちでさえ!「ベルシャザル」はその極み、頂点だったように思います。200人余の合唱団、オーケストラの上段、上手下手の二群に配された金管のバンダ、配置しきれずに下手仮設花道まで作った打楽器群、そして新宿文化センターが誇る都内最大級のカヴァイエコル型パイプオルガンが咆哮する巨大な音楽絵巻は間違いなく一つの音楽シーンだったと思います。(つづく)

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